恋とはどうにもままならず

 性差が憎い。半端な血の遠さが憎い。親友にもなれず家族でもないわたしはおまえにとってのなににならばなれるのか――そう、うめく彼女を愕然と見つめる。噛み締めすぎて破れた唇に滲む赤がどうしようもなく綺麗で、腹立たしくて、乱暴に指先で拭った。
「馬鹿じゃねぇの」
 ひとつ年上の従姉はいつだって完璧だった。いつだって。こんなしょうもない泣き言は、辛うじて一緒にボールを蹴っていた幼い頃にだって零したりはしなかった。それが、どうだ。まるでなにも持っていないような顔でぼろぼろ泣きやがって、あまりにも無様だ。無様だろうがよ、俺が。
「俺は」
 俺が王様なら、お前が女王だって信じてたんだ。ずっと。







TOP