我ながら子供じみている

 月並みだが、綺麗だな。
 そう言って空を見上げる従姉の横顔を眺めながら――さすがに、ただの炎色反応だろ、あんなもん。とは言えなかった。
「お前の方が」
「ん?」
「お前の方が、ずっと」
「すまない、花火の音でよく聞こえないんだ」
 申し訳なさそうにしつつ、それでも珍しく夜空の方に気を取られている彼女を見ていたら酷く腹が立ってしまったのだ。だから、両手で耳を塞いだ。
 ――なに
 問いかけごと飲み込む。さっき食べたばかりの、りんご飴の味がした。もっと欲しくなってしまって、答えるついでにもう一度唇を合わせた。口移しで、伝わったかどうかは分からないが。
 ――お前の方がずっと綺麗だって言ってんだろ。
 とも、
 ――お前には俺だけでいいだろ。
 ともつかず。





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