出られない部屋

 なんのつもりだ。
 ドアを背に両手を広げ、なにかを待っているユナに半眼で訊ねる――目まで瞑っていた彼女には、こちらの表情までは見えなかっただろうが。彼女はそのまま告げてきた。
「今からここはキスしないと出られない部屋だよ。だからちゅー」
 して。
 とは、最後まで言わせることなく片手で担ぎあげる。茶番はそれでしまいだ。
 反則だと騒ぐ彼女の尻を、影二はひとつ叩いて黙らせた。
「相手なら後でしてやる。お前が後悔先に立たずという言葉を学ぶまでじっくりと」




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