Good-Good-Time

 おっきくなったね。 ぼんやり彼を眺めていたら、ふと目線の差に、 気付いたのだ。特になにを考えるでもなく思いついたままにそう告げると、影二は露骨に顔をしかめた。
「嫌味か」
「まさか。だってほら、幼稚園のときにはほとんど目線が変わらなかったのに、今はこんなに違う」
「まだだ。これから、もう十センチは伸びる」
 よっぽど不本意だったらしい。歯をぎりぎりきしらせて唸る影二の姿に、余計なこと言ったなと頬を掻きつつ――耳元で囁く。
「わたしはこのままがいいかな。世間的にはこれくらいのがキスしやすいって言うじゃん?」
 話題を変えるついでにたまには慌てさせてみようかと、その程度の軽い気持ちだったのだが。
「ハッ」
 鼻で笑うと、彼は噛み付くような口付けとともに言った。
「関係あるものか」




TOP